『蝦蟇の油 自伝のようなもの』(黒澤明 著、岩波現代文庫、2001.8.17、ISBN:4006020376)

長い間、積読だったもの。何かの道の大家の自伝は、興味深いものが多いので、見かけたらついつい買ってしまう。そして、なかなか手を出さずにいるのだが、読み始めると止まらなくなったりする。この本もそうだった。
黒澤明の映画は、ビデオで内田百けんのヤツを見たことがあるだけ。しかも、内容をあまり覚えていない。「気難しい、権威」というイメージがあり、何となく手を出しかねていた。この本を読むと、確かに、気難しく厳しい人だったようだが、それだけ映画に対して強い情熱を持っていたことがわかる。若いころは、もちろん「権威」なんかではなく、むしろ時勢的に「権威」に抵抗する側だった。戦争中の自らの行動について、誠意をもって反省しているところが特に胸を打たれた。
「世界のクロサワ」とか言って特別視せず、面白い映画の1つとして黒澤明の作品を見てみようと思った。まずは、内容を忘れてしまったヤツから見てみようかな〜。